台湾の首都、台北の街並み(2021年6月2日、写真:ロイター/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 台湾は韓国と似たところがある。どちらも戦後、民主主義陣営の最前線とされた。そして、その後、大陸の中国が経済発展を遂げると、米中関係の緊張の高まりに翻弄されるようになる。

 一方、対日感情で言えば、台湾は韓国と正反対である。

 台湾の食堂で食事をしていると、たまにこんな経験をすることがある。相席になった台湾人が話しかけてきて、私が日本人だとわかったとたん「日本、大好きなんだよ」と大きな声で訴えてくるのだ。そう言われて、もちろん悪い気はしないのだが、その唐突な宣言に、私は面食らってキョトンとしてしまう。

「反日」という言葉が現地メディアで踊る韓国に住む私からすると、こうした台湾の親日ぶりに接すると、どうしても驚きと小恥ずかしさに襲われてしまう。

 そもそも韓国では、本当は日本好きな韓国人が「会社でもそうですが、日本が好きだなんて、なかなか言えませんよ」と打ち明けるほどだ。なにしろ日常的に日本批判の報道が多いので、私は韓国で暮らす間にどうやらマゾヒストになってしまったらしい。