(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)
韓国のソウル中央地裁は6月7日、徴用工問題に関する裁判において原告側の請求を棄却した。その判決骨子は「(1965年に結ばれた日韓基本条約があるために)原告が訴訟を起こす権利は制限される」とするものである。日本にとっては至極真っ当な判決と言える。
ただ、この判決に対して韓国の世論は怒り狂い、裁判官に対する弾劾の請願が6月9日の時点で20万を超えたという。韓国では請願が20万を超えた場合、政府はなんらかの回答を出さなければならないとされるから、文在寅政権がどのような回答を出すのか見ものである。
本来この判決は6月11日に言い渡されるはずだったが、急遽7日に変更された。その理由は11日から開催されるG7に、文在寅がゲストとして出席するからとされる。その前に日本との和解を少しでも印象付ける必要があった。
韓国に息づく政治に関する考え方
それにしても、裁判所を含めて韓国の判断はなぜこのようにコロコロと変わるのであろうか。裁判所の判断を、法律論に基づいて解釈を試みてもくたびれるだけである。