陶磁器に対して韓国人には複雑な思いがある

 活況を呈している韓国株式市場で、6月7日に上場廃止を迎えた会社がある。

 企業にも栄枯盛衰があり、盛っていくのを見るのは愉快だが、衰えていくのを見るのは哀しいことだ。

 6月7日、80年の歴史を誇る韓国の生活陶磁器会社であるヘンナム社(元ヘンナム磁器)が紆余曲折の末、上場廃止となった。1993年に上場しており、上場から28年目のことだった。

 ヘンナム社は、1942年に創立され、韓国の第1世代生活陶磁器の2大メーカーの一角として名声を保っていた。もう1社は韓国陶磁器社である。

 同社は、1953年に韓国で初めて陶磁器のコーヒーセット生産を始め、1963年には韓国で初めて香港に陶磁器を輸出した。

 1988年ソウル五輪では、陶磁食器類のオフィシャル・パートナーに指定され注目された。

 輝かしい20世紀を後に、2010年代になると同社に少し陰りが見えてきた。

 発端は、創業者から4代目を迎え経営承継問題で経営権の紛争が起きたことだ。また、急激に変化した事業環境に対応できなかったということもある。

 同社の主力商品は、嫁入り道具として「ホームセット」と呼ばれる大人数用の食器セットであった。