イスラエル軍は、ガザからロケット弾攻撃を繰り返すイスラム過激派テロ組織ハマスの拠点やロケット弾発射台、武器庫、地下に張り巡らされたトンネル網、ハマス幹部の自宅などを標的とし、ピンポイントで攻撃している。また攻撃実行の1〜3時間前には、それらの建物の近隣住民に電話やテキストメッセージで退避するよう通告している。これはイスラエル軍がテロリストとテロのインフラだけを攻撃し、できるだけ民間人に被害が及ばないよう尽力しているからだ。
しかしメディアはそうした詳細を伝えない。それどころか朝日新聞は17日、「突然、空爆されるまで『あと10分』そのときAP記者は」という、「外国人ジャーナリストまで空爆する非道なイスラエル」と印象付ける記事を掲載した。
メディアは「強力な軍事力で民間人を無差別攻撃するイスラエル」という印象を与える「空爆」という言葉を繰り返し用い、「子供を含む〜人が死亡」とガザの死者数の多さを強調する。これにより人々には、「イスラエルは多数の民間人を空爆する鬼畜」「子供を殺すチャイルドキラー」というイメージが刷り込まれていく。
パレスチナ人を搾取しているのは誰か
「イスラエルの空爆」を非難する記事と比べると、ハマスのイスラエルに対するロケット弾攻撃の記事は圧倒的に少ない。そしてそれに言及する場合も、「多くはミサイル迎撃システム『アイアンドーム』が迎撃」(朝日新聞デジタル5月15日)などと記し、「イスラエル側にほとんど被害はない」と印象づけ、「圧倒的な軍事力を有するイスラエル軍」と「脆弱なロケット弾で応戦する弱きパレスチナの正義の味方」という構図を際立たせようとする。
メディアはハマスが日本やアメリカ、EUなど主要国でテロ組織指定されていることにも言及せず、「イスラム組織」などと説明してはぐらかす。ハマスに資金や武器を提供しているのは、世界最大のテロ支援国家であるイランやトルコ、カタールであることも伝えない。ハマスがメンバーをUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)に送り込んで実質的に支配し、国際的な援助物資や資金を収奪していること、そのせいで一般のパレスチナ人に支援が全く行き届かないことも報道しない。