5月16日、パレスチナからのロケット弾をイスラエルの対空防衛システム「アイアンドーム」が迎撃する瞬間(写真:ロイター/アフロ)

(飯山 陽:イスラム思想研究者)

 ここ1週間ほどSNSの書き込みやニュースのコメント欄を見ていると、日本人の多くがイスラエルとパレスチナの紛争について特定のイメージを持っていることがわかる。圧倒的多数の人が、「罪のない子供まで殺すなんてイスラエルは残酷なテロ国家だ!」「子供や女性まで巻き込むなんてイスラエルは許せない!」「歴史をさかのぼれば占領したイスラエルが悪いのは明白だ!」などイスラエルへの怒り、憤りを表現している。

 だが日本人は果たして、この紛争について事実を正確に認識しているのだろうか。おそらくその可能性は低いと言えよう。なぜなら日本人は多くの場合、この紛争についての情報を日本語で書かれたメディア報道からのみ得ており、それらの報道は「反イスラエル」方向に顕著に偏向しているからである。

イスラエルの攻撃は軍事拠点を狙ったピンポイント攻撃

 例えば17日の夕刻の出稿の見出しは、NHK「イスラエル 米を後ろ盾に空爆を継続」、毎日新聞「イスラエル軍、ガザを集中空爆 住宅多数倒壊」、産経新聞「空爆下のガザ地区『住民標的、遺体が増え続けている』」となっている。これらの見出しを読むだけで、「イスラエルはガザで民間人を無差別に空爆する残虐非道な存在だ」と印象付けられる。

 一般に「空爆」という言葉から連想されるのは、住宅地に戦闘機が雨霰と爆弾を投下する状況であろう。しかしこれは現在、イスラエルがガザで展開している作戦の実態とは大きく異なる。