スターバックスは大規模工業団地を建設中

 コーヒー市場の成長を狙った大企業の投資活動も活発です。スターバックスは中国ですでに4800店舗を持っており、現在最も注力しているのが中国市場であるといえます。また同社は江蘇省昆山市に、1億3000万ドルをかけて大規模なコーヒー工業団地の建設を進めています(China Times、https://www.chinatimes.com/newspapers/20200402000249-260203?chdtv)。

 中国発のコーヒーブランドとしては2017年創業の瑞幸咖啡(luckin coffee)があり、急速に店舗数を拡大していますが、米国進出はブレーキがかかっていたりします(「中国ラッキンコーヒー、米で破産申請」https://www.jiji.com/jc/article?k=2021020501317)。

 2020年5月には、中国テクノロジー企業の代表格であるテンセント(腾讯)がカナダのドーナツチェーン「Tim Hortons」(Tims)に1億元(約17億円)を超える投資を行いました。テンセントは自社のデジタルエコノミー生態系の一つとして、新しいコーヒーブランドの確立を目指しています。2019年に中国に進出したTim Hortonsは、現在中国に約150店舗があります。これを、2021年末までに400店舗、2030年までに1500店舗まで拡大する計画です。

テンセントのおひざもとである広東省に2021年2月にオープンしたTims広東旗艦店。注文システムなどはテンセントのWeChatシステムを利用する(筆者撮影)

 いずれ中国の一人当たりの消費量が日本などのレベルになるとしても、まだ時間はかかりそうです。ただし、中国はそもそも人口が多い(日本や米国に比べて1桁多い)ので、消費の総量としては、世界のコーヒー消費量に大きな影響を与えるようになるかもしれません。

 後編では、異業種からコーヒー店に参入した企業の狙い、コーヒーやミルクティーの浸透に対する伝統的な茶館の対応をインタビューを交えてお届けします。