実は、中国のコーヒーの歴史は日本と同じぐらい古く、中国の消費者にコーヒーが初めて紹介されたのは18世紀後半です。上海に中国初の喫茶店ができたときとも言われていて、日本に喫茶店ができたのとほぼ同時期です。
また、中国でもコーヒー豆の生産を行っています。中国南西部の雲南省はコーヒーに適した気候であり、当時ベトナムでコーヒーを生産していたフランスからの技術導入をきっかけに、19世紀にコーヒー生産を始めています。生産量は2016年で16万トン。2018年の世界の生産量は約1000万トンなので、市場シェアは1%強というところです。
現状での中国のコーヒー市場はまだ小さく、しかもインスタントコーヒーが大きな比率を占めています。
上海は喫茶店数が世界最多の都市
しかし、今中国の大都市を中心に、コーヒーが静かに広がりつつあります。
上海交通大学とアメリカ南カリフォルニア大学の研究所が連名で発表した「2020国際文化大都市評価報告」によると、2021年1月上海市内における喫茶店の数が世界のどの都市よりも多いという事実が明らかになりました。同報告の調査対象はロサンゼルス、ニューヨーク、ベルリン、ロンドン、上海、東京、シンガポール、ソウルなど世界の各都市で、文化水準を測る数値の一つとして喫茶店の数を調べています。
上海には約8000店の咖啡館(中国で喫茶店やカフェに相当する店舗)があるとされています。現地のレストラン評価サイトである美団にも6000店舗以上の咖啡館が登録されています。さらに上海市内のスターバックスは700店舗以上と世界一の数です。
上海では、2021年3月にコーヒー文化の大規模展覧会「上海咖啡文化周(シャンハイコーヒーカルチャーウィーク)」(第1回)が開催されました。上海は公式発表によると一人当たり年間20杯以上のコーヒーを飲む、愛飲家の集中する都市だといわれています。