(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
「いまだに赤字」を強調するメディア
2021年5月11日、日産自動車が2020年度決算を発表した。冒頭、内田誠社長兼CEOは「世界的な市場環境変化が大きい中、『NISSAN NEXT』は着実に結果を出している」と強調した。
内田社長が言う「世界的な市場環境変化」とは、新型コロナ感染症拡大の影響およびESG(環境・社会・ガバナンス)投資を念頭に置いた電動化への急激なシフトなどを指す。
「NISSAN NEXT」は、旧来のゴーン体質から脱却を目指す4カ年の事業構造改革計画だ。2020年5月に発表され、今回の決算発表でちょうど1年が経過した。「着実な結果」とは、直接的には赤字幅の圧縮だ。2019年通期では売上高が9兆8789億円で6712億円の赤字だった。それが2020年通期では、売上高が2兆163億円減の7兆8626億円だったにもかかわらず、赤字は4487億円と2225億円改善している。