グローバルトレンドについて
米国の国家情報会議(National Intelligence Council)*1の報告書「グローバルトレンド2040(Global Trends 2040:以下GT2040)」が4月に公表された。
「グローバルトレンド」は、1997年から4年ごとに発表されていて、発表年から20年後の米国の戦略環境に係る諸要素を分析し、対象年(今回の場合2040年)の世界秩序に関するシナリオを提示している。
「グローバルトレンド」は本来、米国の大統領選挙に勝利した新大統領に対する報告書として作成されてきた。
ちなみに、2012年に作成された「グローバルトレンド2030(GT2030)」は、再選を果たしたバラク・オバマ大統領の就任式前に発表された。
国家情報会議は、今回の「GT2040」について、「政策立案者が政権発足の早い段階において、国家安全保障戦略を策定し、不確実な未来を航海する際に、彼らに分析の枠組みを提供するものだ」と説明している。
つまり、ジョー・バイデン大統領をはじめとするバイデン政権のために記述された文書である。
以上のように、米国や中国は、数十年先の世界を予測して国家戦略を構築し、それに基づき具体的な施策を行っているが、我が国はどうであろうか。
GT2040で記述されている日本は「ますます存在感が希薄になる国家」であり、不安が募ってくる。
以下、「GT2040」をよりよく理解してもらうために、「GT2030」と対比しながら、その本質的部分について紹介したい。
*1=国家情報会議は、米国の情報機関の情報に基づき、米国大統領のために中長期的予測を行う機関