何も見つからないまま、1時間ほど歩いた。やがて、山道の横に大きくくぼんだ場所を見つけたので、端まで行って身を乗り出してみる。すると、なんとその下にトンネルを発見した。
トンネル上の赤い看板には、ラオス語、そしてそれよりも大きい中国語で「友誼トンネル出口」と書いてある。ここが中国とラオスをつなぐトンネルの出口だったのだ。
山道を迂回して下まで降りて行くと、そこにはまだ線路が敷かれていなかった。駅らしきものもなく、周囲にあったのは何かしらの工事現場とガソリンスタンド、そして謎のゲートだけだった。
ガソリンスタンドにいた男性に、中国語で話しかけてみた。すると、中国人だという彼は、ここが駅の建設予定地であることを教えてくれた。トンネルと駅の場所は確認できたので、ボーテンの町中に引き返すことにした。
でも、腑に落ちないこともあった。なぜ、開発の進むボーテンの町から5kmほども離れた何もない場所に駅がつくられようとしているのか。また、駅予定地の近くにあった謎のゲートはなんだったのか。その答えは、ボーテンの町に戻りたまたま見つけた「ボーテン経済特区展示場」にあった。