(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国のEコマース巨人、アリババに対して独禁法違反で182億元(約3050億円)という巨額の罰金が科せられたことが話題になっている。

 中国は2015年に米半導体企業クアルコムに60.88億元の巨額罰金を科しているが、アリババへの罰金はこれをはるかに超え過去最高の罰金額だという。

 もっともアリババの2019年の年間総売上の4%として算出された罰金額なので、アリババがどれほど儲けていたのか、という話でもある。アリババのような巨大企業にとっては史上最高額の罰金もさほど影響はないかもしれないが、庶民が日々科される様々な罰金は、ときには人を自殺に追い込んでしまうこともあるほど深刻だ。

誰もがトラップにかかる「罰金道路」

 先日、CCTV(中国中央電視台)はじめ中国メディアが広東省の「罰金道路」について報じたことから、中国当局が科す罰金の悪辣さに注目が集まった。

 報道によると、とあるドライバーが広東省仏山市の広州~台山を結ぶ高速道路(広台高速)にあるY字路の分岐点で車線変更禁止ゾーン走行中に車線変更したとして、罰金200元を徴収された。このとき、罰金切符に記されたこの場所での累計違反人数が62万4149人であった。ドライバーはそれを見て、自分と同様に違反して罰金を科された人間が62万人もいて、1人200元の罰金が徴収されたとしたら累計1億2000万元が罰金が徴収されたことになる、と中国のSNS「微博」に投稿した。