個人情報管理の問題で記者会見するLINEの出澤剛社長(3月23日、写真:つのだよしお/アフロ)

 情報業務の仕事をしている者は、情報セキュリティが厳しく求められる。

 なぜなら、情報が漏洩する、取られる、覗かれるという恐れがいつでもあるからだ。そのためセキュリティに深い関心があるし、セキュリティ規則で細かいところまで規制される。

 多くの人々は、使用している情報ツールの個人情報が、端末機やそのソフトを製作している者に確実に覗かれていることを知らない。

 しかし、情報機関で働く者は、業務では民間の情報ツールを信用していないし、絶対に使わない。業務室内への持ち込みも禁止だ。

 プライベートで民間の情報ツールを使用する場合は、情報が洩れることが前提で使っている。漏れても支障がないものに限って使用する。あるいは使用者が誰か分からないようにしている。

 このことに精通している米国が、政府関係者に対して中国企業の情報端末機「ファーウェイ」の使用を禁止している。この端末機を使用すると、中国に情報が流れるからだ。

 一方、日本の政治家、著名人、海外に展開している企業家は、情報のセキュリティの意識が低く、情報通信のアプリであるLINEが便利だからといって日常的に使用していると聞いている。

 自分が使用する情報通信ツールから情報が漏れることはない、また影響はないと、個人が勝手に判断して使用することは極めて危険だ。

 まして、国の安全保障に影響するかもしれない国会議員が使用していることは、情報セキュリティの自覚がなさすぎる。

 無料通信アプリ「LINE」の問題について、アプリの使用者が知らないうちに、情報が海外に渡っていることや、外国人製作者が情報を見ていることが、どれほど重大な問題なのかについて、情報を取る立場からの視点も加えて分析する。