新規投資と雇用創出が生まれる

 陸運・幹線道路省は、2023年までに全国に50カ所の「検査・廃車センター」(仮称)を開設する計画だ。

 公営企業と民間企業による官民共同事業(PPP)や州政府によって建設・運営される。

 手始めに2022年春から政府や公営企業が保有する公用車を対象に運用を開始し、環境負荷の大きいバスやトラックなどは2023年春から、その他の乗用車などは2024年6月からの導入を予定している。

 ガドカリ大臣によると、新制度によって1000億ルピー(約1500億円)以上の新規投資が見込めるほか、3万5000人の雇用が生まれるとしている。さらには一部で社会問題となっている老朽車の不法投棄などの減少も期待できる。

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 HDFC銀行の試算によると、廃車解体・リサイクル事業の市場規模は年間60億ドルに達するという。

 早くも先手を打つ民間企業が出てきている。乗用車市場で50%近いシェアをもつ「マルチ・スズキ」は「豊田通商」と合弁で、デリー郊外のウッタルプラデシュ州ノイダで廃車スクラップ・リサイクル事業を開始。

 商用車・SUV大手の「マヒンドラ&マヒンドラ(M&M)」を傘下に持つ「マヒンドラ・グループ」もスクラップ金属を扱う国営企業「MSTC」と合弁で、同様の廃車解体工場をノイダやプネー、チェンナイの3カ所で保有しており、2022年までにあと25カ所の新設を計画中。

 デリー郊外ハリヤナ州に最新鋭のスクラップ工場を持つ「タタ製鉄」も同様の事業参入を計画している。

大気汚染の軽減や金属の価格低下が見込める

 インド自動車工業会(SIAM)は3月中旬、政府の方針を支援し、車検場整備で協力するとの声明を発表した。格付け機関「ICRA」は、この「自主廃車政策」によって完成車メーカーや販売店が潤うのはもちろん、大気汚染の軽減や金属の安定供給による価格低下、中国からの屑鉄輸入の削減も見込める、と評価した。

 その一方、車検の実施や車両スクラップを行う「検査・廃車センター」の迅速な配置や、透明性の高い廃車の価格算定、スクラップ証明書発行の仕組みづくりなどがカギとなる、と指摘した。

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