5000ウォンで食べられたランチが1万ウォンに

 文在寅政権は「勤労者の所得を上げると、消費が拡大され経済成長を誘導する」という「所得主導成長」を主張し、主要経済政策として急いで実行した。結果として最低賃金が急速に上昇し、市場経済は悪化した。政府が青年たちの就職を助けるために莫大な額を支援しているにもかかわらず、青年層の就職率はどんどん下落していったのだ。

 韓国は学閥重視の会社が多い。いい大学を出なければいい会社に就職できない。したがって親は老後の資金も蓄えるよりも、子供をいい大学に行かせようと、精神的にも物質的にも「教育にオールイン」する。そこに「曹国問題」が起きたのだ。韓国最高峰の学府であるソウル大学法学専門大学院教授の曹国氏が、地方大学の教授である妻と共に書類や表彰状を偽造し、我が子を一流大学に入学させた。この事件に国民は心底がっかりした。

 ちなみに、曹国氏を捜査した尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長は、与党から猛烈な攻撃を受けた。「検察の積弊清算(過去の政権時代の害悪)」という名分を立て、与党を捜査した検事は左遷されるなど、文在寅政権は自分側の人間を守るために手を尽くしている。

 それでは、文在寅大統領の主張していた「所得主導成長」はどうなったのか。最低賃金を上げたことで物価は上昇した。肌で感じたのが食事代だ。5000ウォン(約490円)で食べられたランチが1万ウォン前後に値上がりしたのだ。飲食店やコンビニなど雇う側は時給を上げなくてはならないので雇用を減らす。家族中心の事業に切り替わり、最低賃金が負担になった中小企業は新入社員の採用を取りやめた。最低賃金は上がったが、物価も上昇し、就業率はどんどん下落していった。

 確かに文在寅政権になって、さまざまな面で福祉は向上した。しかし、そのために莫大な予算がつぎ込まれた。福祉の恩恵を受ける国民がいる一方で、税金が上がって苦しむ国民がいる。ニュースでは「福祉に予算を使う」という内容が毎日報じられた。「わが国にこれほどお金があったのか」と不思議に思った。国のお金を使うという報道はあったが、そのお金はどうやって工面するのか、聞くことはできなかった。

 公共放送であるKBSをはじめ、主要テレビ局の社長もすべて与党寄りの人物に入れ替わり、現政権を批判する声は次第に消えていった。日本と違い、韓国はマスコミの代表を政府が任命するケースがある。政府の意見を代弁するだけのニュースを国民は信頼しなくなり、視聴率はどんどん下がっていった。