海岸沿いに超高層アパートが立ち並ぶ釜山の街。ソウルだけでなくここでも不動産高騰が激しい

 2021年4月7日、韓国のソウルと釜山(プサン)で市長選挙の投開票がある。

 韓国メディアは、1年を切った大統領選挙の「前哨戦」と位置付ける重要選挙だ。この選挙を機に「政治の季節」に入るとの指摘もあるが、大きなカギを握るのは、「経済」と「コロナ」だ。

 4月2日と3日に実施されたソウルと釜山などでの事前投票。投票率は、ソウルで21.95%、釜山で18.65%とかなり高い数字だった。

いずれも補欠選挙で任期は1年

 有権者の関心はそれなりに高い。有力候補陣営はそれぞれ自分たちに有利な結果だったと分析している。

 今回の2大都市の市長選挙はいずれも「補欠選挙」だ。与党の2人の市長が相次いでセクハラ問題で自殺、辞任したことを受けて、残りの任期(1年あまりの2022年末まで)を務める市長を選出する。

 事前投票率が高かったのは、選挙に一定の関心があった以外に、投票日が休日にならないこと、新型コロナの流行で混雑を恐れた有権者が空いている時間帯や投票所を選んで事前投票したこと、3日の土曜日は昼前からソウルで雨が降り、出かけるのをやめた――などの理由もあったようだ。

 韓国では投票日から6日前以降の世論調査の結果公表を禁止している。これ以前に実施した世論調査は公表が認められている。

 3月31日までに実施した世論調査によると、ソウル市長選、釜山市長選ともに、野党「国民の力」の候補が、与党候補に10~20ポイント以上の大差をつけている。

 最後の1週間で野党候補がこのまま逃げ切るのか、大逆転劇が起きるのか。7日夜にいずれも判明する。

 最後に誰が当選するにせよ、今回の選挙は与党に逆風が吹いた。

 そもそもソウル、釜山の市長ともに不祥事で空席となった。「与党に候補を立てる資格があるのか」という批判は、選挙戦当初から根強くあった。