韓国の上場企業は12月決算が多い。3月は株主総会のシーズンだ。2021年3月26日には500社近くが総会を開催する「集中日」だった。
個人投資家の急増で、企業を取り巻く見方にも変化が出ている。
韓国の上場企業で利益断トツ企業であるサムスン電子は、「総会集中日」を避けて、3月17日に総会を開催した。
ソウル近郊の京畿道(キョンギドウ)水原(スウォン)にある水原コンベンションセンターで第52期株主総会を開催した。
「とにかく株主が急増して準備が大変だった」。同社幹部はこう振り返る。
1年間で株主が5倍に
サムスン電子の株主数は、過去1年間で急増した。2020年末時点での株主数は296万人(優先株の株主を含む)。前の年の5倍になった。
増加した株主のほとんどが韓国内の個人投資家だったという。
「夫に内緒で株を買ったので、総会の通知を送らないでほしいが、可能か?」
サムスン電子には昨年末から株主からのこんな問い合わせが相次いだ。
老若男女を問わず、韓国では爆発的な個人株式投資ブームが起きた。最も人気を集めたのがサムスン電子だった。
堂々と買った場合も、こっそり買った場合も、とにかく超優良企業であるサムスン電子に買いが集中した。
2020年に個人投資家は10兆ウォン(1円=11ウォン)近く、サムスン電子株を購入した。
新型コロナウイルス感染症対策の基本は「3密」防止だ。サムスン電子にとっても、多くの株主に総会に参加してもらいたい一方で、桁違いの株主が詰めかけたら対応できない。