ゲノム編集作物が、いよいよ食卓に並ぶ。(画像はイメージ)

(佐々 義子:NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事)

 2020年12月11日、ゲノム編集技術を使って筑波大学で開発されたトマトの届出が、厚生労働省で受理された。承認されたトマトには、GABA(Gamma Amino Butyric Acid; γ-アミノ酪酸)が多く蓄積されている。

 GABAはアミノ酸の一種でストレスや緊張の緩和、血圧上昇抑制、睡眠の質の向上などの機能を持つことが知られている。2021年2月までに、栄養補助食品(158件)、清涼飲料(82件)、菓子類(60件)など合わせて443件のGABAを含む機能性表示食品が消費者庁に届け出られている。

 注目したいのは、ふたつ。このトマトが初めての日本発ゲノム編集食品であることと、承認後、同社が栽培モニターを募集したことである。

 栽培モニターとは、応募した人に「シシリアンルージュハイギャバ」というGABAを多く含むトマトの苗を無料で配布し、栽培する人たちとLINEグループを構築して、栽培指導を行ったり、意見交換を行ったりするというものである。応募者数は予想外に多く、2月26日、5000人に達したところで申し込みは終了された*1

GABA高蓄積トマトの誕生

 トマトは、世界的に生産量、消費量が最も多い野菜のひとつで、GABAの含有量が他の食品と比して数倍から数十倍高い。すでに商品化されているGABAを多く含むトマトは、水ストレスを与えるなど栽培方法を工夫して、GABAの含有量を2~4倍増減させているが、これは手間がかかり、収穫量が小さいという欠点がある。