「売春婦は志願者か親に売られた人」という証言

 前回の寄稿(「慰安婦は性奴隷ではないと理詰めで語る米論文の中身」)で述べたように、このような取り引きは人身売買という違法と、戸籍制度下における正当な権利行使と職業斡旋という合法との境界線にあった。「人肉市場」と呼ばれる人身売買が横行し、社会的問題になる一方で、その容疑で捕まった人たちの大半が無罪に処された。

 以上のような状況から考えると、募集業者と取り引きする親は、娘がどこへ行って何をするかを知っていたと見るべきである。文書に基づく明示的な契約がなかったとしても、両親がそのような事実に気付いていたなら、これは我々が一般的に言う契約に間違いない。韓国と米国の批判者たちは、このような当時の実情を全く知らない。

「慰安婦と業者の間で契約が行われた代表的なケースは、朝鮮内外で戦前からすでに売春婦として働いていた女性だったと考えられる」と前回の寄稿文でも書いた。当時の状況を描写した朝鮮人の証言がある。1945年初め、米軍に捕らえられた朝鮮人捕虜3人に対する尋問調書だ(Composite Report on Three Korean Navy [Imperial Japanese Navy] Civilians List No. 78, dated 25 March 1945, Re Special Questions on Koreans)。

 質問は「日本軍のために売春婦(prostitute)として働く朝鮮人女性を募集していることを、朝鮮人は知っているのか。これに対して普通の朝鮮人はどのような態度を取るのか。君たちはそれによって引き起こされた騒乱や摩擦について知っているか」であった。答えは次の通りだ。

「私たちが見てきた売春婦はすべて、志願者(volunteers)か、親に売られた人たちだ。これは朝鮮的な考え方だが、日本人が女性を直接徴発(direct conscription)したら、年寄りも若者も憤怒して立ち上がっただろう。男たちは怒り、我が身がどうなろうとも日本人たちを殺したはずだ」

 この答弁は「強制連行」はなかったしあり得ない、という事実とともに、慰安婦になる一般的な経路は親の人身売買や売春婦の転職、一般人の就職だったことを物語っている。慰安婦になる過程に関してこれほど総合的な証言を私は寡聞にして知らない。