新型コロナのパンデミックで急遽リモートワークを会社から命じられて働き方を変えざるを得なくなった人は多いだろう。リモートワークによって、自宅でも不都合なく仕事ができるという経験をした人の中には、「リモートワークがこのまま継続されればよいのに」と思った人も多いだろう。

 ところが昨年5月に緊急事態宣言が解除されるや否や出社を強制された人も少なくないようだ。「日立製作所、富士通や一部のIT企業やベンチャー企業では在宅勤務を標準とするという報道もあるのに、なぜ自分の会社はまた出社を義務づけるのか?」と不思議に感じられた方もおられるのではないか。

 この先、新型コロナが収束に向かえば、リモートワークも消滅してしまうかもしれない。新型コロナのパンデミック発生よりずっと以前から必要に応じて欧米の企業なら当然のリモートワークが、なぜ日本企業では浸透しづらいのだろうか?

 複数の外資系企業で勤務してきた経験から言わせてもらえば、その大きな理由は「Distrust(信用していない)」と「Obey(従う)」にあるように思われる。

部下を信用していない上司、メールやLINEで細かく作業内容を確認

 上司と顔を合わせることがないリモートワークの状況では、部下が何をしているかわかりづらい。部下を信用していない上司だと、部下に仕事を任せきることができない。そんな中で無理にリモートワークを実施すると、監視まがいのことをする上司も出てきてしまう。

 LINEやメッセンジャー、チャットやメールなどできちんと仕事をしているかどうかを確認しないと不安になる。不安の度合いがひどくなるとひっきりなしに部下に確認作業を強いてしまう。こうなると部下は、上司の不安を払拭するためだけの報告用メールやLINE等を頻繁に書く必要に迫られる。時間を浪費し、生産効率は落ち、モチベーションは大幅に低下する――。