「VOTE-A-RAMA」とは何か
米東部時間の2月5日(金)午前5時半、1.9兆ドルのコロナ対策パッケージ予算案(バイデン大統領の「American Rescue Plan」)は、様々な修正案への対応を経て、成立に向けて一歩前進した。米国の予算審議は、(1)予算決議、(2)歳出予算法、(3)財政調整法の審議・可決という手順を踏むが、このうちの(1)が通過したのである。
今後についてだが、引き続きパッケージ全額が実現するかどうかは不透明で、民主党内にも悲観的な見方をする議員がいるのも事実である。しかし、今回の決議により、コロナ発生から合計で約4兆ドルの予算が通る見通しに近づいたのは間違いない。
本件に関する米主要紙の記事には、「VOTE-A-RAMA」という日本人には聞きなれない言葉が出てくる。これは米上院のルールで、上院での予算案の決議が(議員間の意見対立の結果)難しい時の対処方法を指す。
上院において、50時間の議論の後、予算案全体を安定多数(60票)で通過させるのが難しいと考えた場合、修正案一つにつき10分などとわずかな時間を使って個々に採択を行う。それがすべて終わったところで、法案全体を決議して、過半数(51票)あれば成立するというやり方である。
バイデン政権と議会民主党はこの手法を取り入れた。結果、2月4日から15時間かけて各修正案について議論と決議が行われ、最後は民主・共和両党の議員が50対50に分かれた後に、ハリス副大統領の一票が民主党側に加えられ可決となった。
ただし、個々の修正案は改めて法案として決めていかなければならない。今回の場合で言えば、予算案の基本である1.9兆ドルのコロナ対策パッケージは条件付きで通過ながら、それに付随する修正案(裁量的経費に関するもの等)をこれから確定していくというものである。修正案が全部通れば1.9兆ドルとなる形なので、そのまま通るかどうかは未知数だ。