就任式当日から1月末までに、バイデン大統領は40を超える大統領令や積極的行動案を発している。これは、過去5代の大統領の就任直後と比べても格段に多い。あまり日本では話題になっていないが、米国以外ではバイデン大統領に対して「無難な大統領」「凡人大統領」との揶揄があり、これが米国に還流している。バイデン大統領にしてみれば、本来の自分の姿を見せるべく頑張っていると考えるのが妥当だろう。
トランプ大統領のような、自ら動くハンズオンではないマネジメントスタイルのバイデン大統領にとって、積極的な動きは「高齢のため選挙が終われば用済み」などという発想を払拭するとの思いもあるのかもしれない。
ところが、現地の様子を聞いてみると、ホワイトハウスの中はてんてこ舞いと言うほどの繁忙度ではなく、かなりのものが事前に準備されていたことを窺わせる。ツイッターでは、同大統領が大統領令へのサイン時に「私は中身を知らない」と語ったシーンが拡散されている。さすがにそれはなくとも、これだけの数をわずか10日弱でサインするのだから、詳細まではわかっていないのかもしれない。
バイデン政権の中核は、大統領のほか、ライス元国連大使、ケリー元国務長官の3人である。政策としては、3つの大統領令で示した気候変動問題への取り組みを軸として、ダイバーシティ(人種差別撤廃等)、コロナ禍対応、経済対策の4つが鍵だが、既に石油会社から訴えを起こされた内容もあるなど、早くも紛糾含みの展開を見せている。
では、なぜバイデン大統領は、そこまでして積極的な行動を採るのだろうか。