文在寅大統領は、人権派弁護士の出身である。それなのに、北朝鮮の問題になると北朝鮮の立場で考え、擁護する。人権弾圧や三代世襲、核開発まで擁護するのだから話にならない。
そんな感覚を持つ文政権だから、国際社会の反発は予想していなかったようである。政府与党は、批判されてから慌てて「同盟国に対する礼儀でない」、「米国が人権問題で説教できる立場か」とキレ気味に反発しているのだが、これは逆効果だろう。それで米国側の姿勢がトーンダウンするとは思えない。むしろより厳しい姿勢で人権侵害を追及されるのではないか。
もしもラントス委員会から厳しい指摘がなされれば、それは人権を重視する民主党のバイデン政権にとっても重点事項となるだろう。韓国はますます厳しい立場に追い込まれる。
文在寅政権は、国内でいかに批判されようと強硬策で突破してきた。同じ感覚で国際社会に対しても臨もうとすれば、手痛いしっぺ返しを受けるであろう。文政権の体質と言ってしまえばそれまでだが、国内的に行っている反民主的行為は国際社会では通用しない。そのことを身をもって感じるしかないだろう。
トランプ大統領の非民主的言動に手を焼き、批判してきたバイデン氏だけに、文政権の「非民主的行動」を容認することはないだろう。
米中を両てんびんにかける韓国、それを許さぬ米国
3つ目は日米豪印4カ国のクアッドに協力する意思があるかどうかだ。
昨年10月、東京で開かれた日米豪印4カ国外相会議に出席した米国のポンペオ国務長官は、その後に予定されていた韓国訪問を直前になって取りやめた。これは米国を中心とする対中包囲網に参加することに韓国が躊躇しているからである、と韓国では言われている。
韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は、昨年9月25日に米国の非営利団体「アジア・ソサエティ」主催のテレビ会議でクアッドに参加する意向があるか尋ねられ、「他国の利益を自動的に排除するいかなることも、良いアイディアではないと考える」と述べ、「韓国はクアッド・プラスに招待されていない」と否定的な考えを述べていた。
さらに、昨年10月、李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使は「韓国が70年前に米国を選んだからと言って、これからの70年間も米国を選ぶという訳ではない」と述べた。駐米大使がこのような発言をすれば任国と極めて気まずくなる。米国務省も直ちに米韓同盟の重要性を指摘してこれに反発している。
このように、韓国は米中対立が激化する中にあっても、同盟国である米国に近い姿勢を取ることを拒否し続けてきた。「安保は米国、経済は中国」として、米中の間で中立的な立場を堅持してきたのだ。
しかし、バイデン氏は民主主義国の協力によって中露に対峙していこうと考えている。そのための首脳会談も開催する方向だ。その時、韓国だけが、米中の間で中立を維持することは許されないだろう。