これは地方の小さな「弁当屋」を大手コンビニチェーンに弁当を供給する一大産業に育てた男の物語である。登場人物は仮名だが、ストーリーは事実に基づいている(毎週月曜日連載中)

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平成17年:58歳

平成17年:年賀状

 かつて私は、小説家を夢みておりました。そして、一行も書き始めぬ前に、既にして題名だけは多作でした。お気に入りのひとつは「小心翼々と空へ」。

 経営者となり、社名をダイナーウイングとしたのは、単なる偶然でしょうか。

 名付け親は、友人でコピーライターの土肥典昭さん。ロゴマークの考案者は、やはり友人でデザイナーの福智一生さん。土肥さん命名のダイナーウイングを「Diner Wing」と綴り直し、福智さんに手渡したのは、私です。数年を経て気がつきました。

「翼が単数では、片翼だ!」言い訳は、私の得意とするところ。

「年商が100億円を超えたら、複数にする趣向です」と広言して参りました。

 お陰様で、本当にお陰様で、昨年度の売上が100億円を超えました。

 しかし、私たちが目指すのは、量の拡大ではなく、絶対的な質の追求。まだまだ未熟で片翼のダイナーウイングですが、翼を広げ、「小心翼翼と空へ」飛び立つ覚悟です。