これは地方の小さな「弁当屋」を大手コンビニチェーンに弁当を供給する一大産業に育てた男の物語である。登場人物は仮名だが、ストーリーは事実に基づいている(毎週月曜日連載中)
前回の記事はこちら(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64969)
平成31年~令和2年:71歳~72歳
平成31年度:甘宮市商工会議所新年互礼会、冒頭の挨拶
新年明けましておめでとうございます。世話人代表として、一言ご挨拶申し上げます。
のっけから私事で恐縮ですが、私のような浅学菲才の者が商工会議所の会頭を拝命して、はや12年。曲がりなりにも甘宮市商工会議所会頭の重責を担うことができましたのは、偏に皆様方の絶大なご指導ご協力の賜物と衷心より感謝申し上げます。
私は本年10月末を以って、会頭職を辞する覚悟です。従って、私の互礼会挨拶は今回が最終回。
毎々で誠に恐縮ながら、私には混沌とする今年の経済の予測はできませんので、相変わらずの独り善がりな所感を述べさせていただくことをご寛容ください。
半世紀以上前、私が浪人時代の話です。本通りに在った古本屋「南海堂」で、「電通」中興の祖と呼ばれた吉田秀雄さんの伝記本「広告の鬼」と出合いました。
その中に「鬼十則」と名付けられた行動規範を見つけました。
昨今では、いろいろ批判もあるようですが、10代の多感な青年だった私は強烈に感動。
早速マジックで模造紙に書き写し、机の前に貼って日々復唱しておりました。
《ここで、恭平は『鬼十則』の一から十まで、留まることなく早口で暗唱して見せた》
一、仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。
二、仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
三、大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己を小さくする。
四、難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
五、取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
六、周囲を引きずり廻せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きができる。
七、計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
八、自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらない。
九、頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ。サービスとはそのようなものだ。
十、摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。
机の前にはもう一枚、父からプレゼントされた武者小路実篤の色紙が貼ってありました。
「勉強 勉強 勉強 勉強のみ よく奇跡を生む」
しかし、この短い文言を私が声を出して読むことは一度としてありませんでした。
昨年の秋の叙勲において、お陰様で身に余る「旭日小綬章」を拝受いたしました。
「貴様の人生は、奇跡の連続だなあ!」高校時代の友人から嬉しい祝辞を頂戴しました。
勉強とは無縁でサッカーに明け暮れ、恥ずかしい程の劣等生だった私ですが、目の前のチャンスに果敢に挑戦し続けた結果、まさに奇跡が生まれたようです。
だとするならば、奇跡を生むのは勉強ではなく、挑戦ではないのか!
そう考えた私は、今年度の甘宮市商工会議所のスローガンを次のように決めました。
「挑戦!挑戦!挑戦!挑戦のみ、よく奇跡を生む」
ご列席の皆様が、「どうせ、出来はしない…」などと最初から諦めず、「誰でも挑戦し続ければ、奇跡だって起こる!」そう信じて、目の前のチャンスに果敢に挑戦していただけることを願うばかりです。
結びに、皆様のご健勝とそれぞれの企業や組織の益々のご発展を祈念申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。