(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 中国では今年(2021年)から中期政策大綱である第14次5カ年計画が始まる。核となるのが「双循環」という新たな発展政策だ。2020年10月の5中全会(中国共産党第19期中央委員会第5回総会)で打ち出された「双循環」は、中国が直面する状況と進路修正を反映したものとして内外から注目を集めている。

「双循環」について、中国国務院の劉鶴副首相は「国内の大循環を主体とし、国内と国際の2つのサイクルが相互に促し合う新たな仕組み」だと述べた。「2つのサイクル」としているが、実際に中国が目指すのは、過度な海外市場への依存度を引き下げ、あくまで内需型経済を確立することである。

 そのことは、2020年11月25日に人民日報に掲載された同副首相の署名原稿にもはっきりと打ち出されている。

「改革開放を経て中国が成長しなければならなかった時代は市場も資源も海外に求めたが、2度の金融危機を経て、国際経済の大循環は弱体化しているどころか、近年は西側主要国において、ポピュリズムや保護貿易主義が台頭している。コロナ禍を経て、反グローバル化の傾向は明白だ。こうした外部の変化がもたらす課題に直面し、中国は経済発展の道筋を調整しなければならない」

 中国では、改革開放政策が始まってから、海外からの投資を貪欲に受け入れるとともに、対外輸出を拡大させる「外向き志向」が続いていた。その基本路線は継続しながらも、外部要因の変化に合わせて内需強化に舵を切ろうというのが、この「双循環」である。