そうした先端的な歴史観を標榜しているのは、韓国史教育者として知られているソル・ミンソク氏である。見た目は若々しいが、1979年の朴正煕暗殺のときに小学生だったという話をしていたので、だいたい50歳前後と思われる。

韓国の人気歴史講師、ソル・ミンソク氏の著書『ソルミンソクの韓国史特講

 ソル氏は毎週日曜日の夜9時から、地上波であるMBCの歴史教育番組にレギュラー出演して、古代から現代までの韓国史を紹介している。その語り口は、わかりやすく、情熱的で、歴史上のさまざまな事件を次から次へと語り続け、聞く者を飽きさせない。外見が若々しいこともあり、歴史教育を受け始める小学校高学年あたりから大人まで幅広い人気がある。

 もちろん、近代史の話になれば、「日本から受けた被害」についての言及を忘れることはない。その時は顔を硬直させて、怒りを込めた口調で語る。

 年末の12月26日の晩、テレビのチャンネルを回していると、ソル氏が日曜日でもないのに映し出された。しかも今回はtvNというケーブルテレビ局である。調べたところ、昨年12月に始まった毎週土曜日放送の「ソル・ミンソクの世界史まる裸」という番組である。

 この日のテーマは韓国および日米の近現代史だった。日中戦争、南京大虐殺、731部隊での生体実験と、ビッグテーマが目白押しである。そしてさらに戦後、米軍による日本への進駐、天皇の人間宣言、東京裁判を含めた戦犯処理の話に及んだ。

 そこで語られていたことの一つひとつは、これまで日本でも語られてきたことである。だが、問題はそれらを全体的に見たときの解釈の仕方である。日本軍部の中枢にいた人物をアメリカが戦犯とするとき、その基準にアメリカの利益が重要視されたということを、声高に語っていた。