ベッドが一杯一杯の状態では、当院の使命である深刻な症状の重症コロナ感染症患者を受け入れるには、転院が可能な患者をどこかに受け取ってもらわないとなりません。新型コロナ感染症は重症化すると回復までに時間がかかるので、一度埋まったベッドはなかなか空きません。重症患者を新たに受け入れるためには、新型コロナ感染症の症状は比較的軽いものの、人工透析の必要性などにより当院に入院している患者さんに転院していただかざるをえないのです。

 他院や県庁の入・転院調整本部と毎日情報共有し、まるで駒を動かすように、ようやく空きベッドを確保する状態が年末から続いています。

自治医科大学附属さいたま医療センターの新型コロナ感染症専用ICUの見取り図
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現在の状況は「水があふれ出した」

 ここまでやっているにもかかわらず、埼玉県内の新型コロナ感染症患者の受け入れは日を追うごとに難しくなっています。3日前ぐらいからちょっと調子が悪かったけれど自宅療養を余儀なくされていた感染患者が、急激に症状が悪化して人工呼吸器寸前の状態になってようやく入院できた例。もともと透析をされていてハイリスクなのに入院できない感染患者の例。そんな事例がどんどん増えてきています 。急変の可能性が高い、高リスクの自宅療養・ホテル療養患者が増えているのです(第31回参照)。

 また、冬は新型コロナ以外の肺炎、心臓病、脳卒中が増える時期です。新型コロナ感染症以外の病気の患者さんの入院・転院も難しくなっています。救急患者の受け入れも制限し、重症患者に限定せざるを得ない状態です。新型コロナ感染症かどうかにかかわらず、高齢者に対する積極的治療継続の是非(第31回参照)を検討するタイミングが早くなり、その対象も広くなっています

 第31回(12月28日公開)で、「治療が必要なすべての方に最適な医療を提供することが難しくなりつつある」「医療のキャパシティというバケツから水があふれそうになっている」と書きましたが、それから2週間が経った現在の状況は、「難しくなった」「あふれ出した」です。