(2)グアム米軍基地に対するミサイル攻撃を想定したものか

 宮古海峡を通過して、太平洋に進出した航跡の位置からは、ミサイルの射程から判断すると、グアムに対しての攻撃は不可能である。

 今、中国軍機が、グアム基地を攻撃する訓練を行うことは納得できるが、ロシアが中国と共同でグアムの基地を攻撃する訓練を行うことは、米国を強く刺激することになり、ロシアの利益につながらないと考える。

 よって、グアム攻撃を想定した訓練ではないであろう。

(3)接近した合同飛行と通信訓練

 中露のどちらかがイニシアチブをとって、飛行計画を作成し、これに従って飛行しただけなのか。

 当然、接近すれば、通信交信をするであろう。通常のボイスで交信するのであれば、中露の緊密性は低いが、秘匿性の高い機械暗号化された通信を使った交信であれば、かなりレベルが高い共同訓練であると判断できる。

 公開されている情報では、これ以上のことは不明である。

(4)朝鮮半島や台湾有事の際、米軍の介入を妨害することを想定したもの

 中露爆撃機の飛行航跡に、地理的関係を加えて見ると、合同飛行訓練の軍事作戦の狙いが分かる。

 北側の飛行コースは、朝鮮半島有事で、米軍が日本から戦闘介入すること、あるいは、日本からの米軍物資の空輸支援などを間接的に妨害するためのコースである。

 南側のコースは、中国による台湾侵攻や尖閣への上陸などのとき、日本特に沖縄からの戦闘介入や本州からの兵力の空輸を妨害することである。

 宮古海峡上空をロシア機と中国軍機が入り混じって同時に飛行すれば、自衛隊の対応が難しくなる。