だが、戦略爆撃機が日本と韓国や中国の中間線、台湾や尖閣の付近を飛行する意味は、中露の同盟関係を強調することよりも、軍事作戦的な理由がある。

 それを明らかにすることが、国家防衛や外交上、特に必要である。

中露爆撃機の合同飛行と米日軍の介入・支援等

出典:自衛隊統合幕僚監部報道資料(2020年12月22日)に筆者が加筆

2.なぜ爆撃機の合同飛行なのか

 中露の関係強化を示す目安には、軍高官や艦艇の相互訪問、新型兵器の購入、軍事技術支援、海空軍による共同演習・訓練などがある。

 中露関係では、これまで、ロシアは、「Su-27」戦闘機や新型防空ミサイル「S-400」を輸出してきた。

 だが、中国が欲する「A-50」メインステイ空中警戒管制機の内部機器やバックファイアー爆撃機および軍事関連先端技術の輸出は止めている。

 輸出後、ロシアに脅威とならないように制限をかけているのだ。

 中国海軍によるウラジオストク訪問やロシア海軍による大連訪問があってもよいはずだが、近年では、このような軍高官や軍艦の相互訪問もない。

 また、中国海軍東海艦隊とロシア太平洋艦隊の共同演習などの大掛かりな演習も艦艇同士の共同訓練もない。

 中露は、相互に利用できることは利用し、損出や脅威を受ける可能性があることについては、制限をかけている。

 つまり、相互信頼関係は薄く、同盟関係と呼べるほどの緊密な関係でないことが分かる。

 ということは、協調関係を強化するという狙いよりも別のところに狙いがあると見た方がよい。