例えば、半導体の基本的な製造工程を見てみると(図5)、リソグラフィの露光装置には解像限界があるため「10nm以下用」のEUVがあるが、CVDやスパッタなどの成膜装置、ドライエッチング装置、洗浄装置などに「10nm以下用」の特別な装置があるかと言われれば、無いとしか言いようがない

図5 半導体の基本的な製造工程
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 成膜装置、エッチング装置、洗浄装置などは、28nmにも14nmにも7nmにも、同じハードウエアで対応できる(多少のプロセス条件の違いはあるかもしれないが)。特に「7nm用」のCVD装置やドライエッチング装置があるわけではない。

 したがって、米国の製造装置メーカーのAMAT、ラム、KLAがSMICに装置を輸出する際、米商務省に対して「この製造装置は14nm用です」と申請すれば嘘にはならない。よって、米国の製造装置メーカーは、SMICに何の障害もなく装置を輸出できることになる。

 JETROのビジネス短信で引用した文章中に、ウィルバー・ロス米商務長官が、「SMICを通じて米国製技術を活用した中国内の先端技術レベルの引き上げをできないようにするための当然の措置だ」といったことが書かれているが、このELではSMICが米国製の製造装置を使って10nm以下の半導体を製造することを止めることはできない。

 実際、TSMCはEUVを使わずに2018年に7nmを量産しており、サムスンも同年に8nmを製造している。EUVを使わなくても、図6に示したSADP(Self-Aligned Double Patterning)や、このSADPを2回繰り返すSAQP (Self-Aligned Quadruple Patterning)を駆使すれば、7nmレベルの半導体の量産は可能だ。このとき使われるCVD装置、ALD(Atomic Layer Deposition)装置、エッチング装置などは、28nmにも14nmにも使っている装置を適用する。

図6 SADP(Self-Aligned Double Patterning)
(注)ALDはAtomic Layer Depositionの略で広義にはCVDに含まれる

EUVにも抜け道がある

 このほど米商務省が輸出規制を課したSMICに対するELでは、米国製の製造装置の輸出は何一つ止められない。では、7nm以降(例えば5nm)に必須となる最先端露光装置EUVについては、このELは輸出規制として機能するだろうか?

 結論から言うと、抜け道があるということになる。

 図7は、EUV露光装置の基本構成を示している。EUVの機能モジュールとして、レーザー励起型プラズマ光源(以下、光源)、照明光学系、反射型マスク、投影光学系、ウエハステージがある。

図7 EUV露光装置の基本構成
出所:技術研究組合「極端紫外線露光システム技術開発機構(EUVA)」の発表資料
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