菅義偉首相(写真:つのだよしお/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 新型コロナウイルスの感染再拡大が止まらない。それに伴って菅内閣の支持率も低下するばかりである。

 12月19〜20日に行われた朝日新聞の世論調査によれば、内閣支持率は39%と前回よりも17%落下し、不支持率は35%と15%も増えている。50代以上の年代層では、不支持が支持を上回っている。GoToトラベルの全国一斉停止については、「遅すぎた」が79%であり、菅首相はコロナ対策で指導力を「発揮している」は19%、「発揮していない」が70%と厳しい回答となっている。

 さらに、同じ日に実施したANNの世論調査では、内閣支持率は38.4(−17.5)%、不支持率は39.6(+17.1)%と、不支持率が支持率を上回ってしまった。8人での会食については、「問題だ」が69%、GoToトラベルの停止については、「遅すぎた」が78%に上る。

 これらの世論調査を見ると、菅内閣に「黄信号」が灯り始めたと言っても過言ではない。この支持率低下はなぜなのか。答えは極めて単純である。それは菅首相が国民の不安感を払拭できないからである。

拡大一途の新規感染、そこに加えて変異種の登場

 政府の対策が後手後手に回り、場当たり的な対処療法に終始しているようでは、国民が安心するはずはない。嵐に翻弄される船の船長が、行く先も定かでないまま、羅針盤も故障した状況で危なげに舵を切っているのが今の日本の状況である。しかも、嵐はますます激しくなっている。

 24日の全国のコロナ感染者は3740人と過去最多であった。東京888人、神奈川495人、埼玉251人、千葉234人、愛知270人、大阪289人、兵庫152人、広島98人、福岡149人、北海道123人など、終息の兆しは全くない。