国会を開いてもよし、開かなくてもよし

 臨時国会を召集するか否かの視点でみてみよう。先に召集するケースを検討する。

 9月18日が総裁選の投開票日とすると、9月20日は祝日であるため、平日は9月21日、22日の2日間が目に入ってくる。23日はまたもや祝日である。公選法31条第2項に沿うと、遅くとも9月23日には国会を閉会しておく必要がある。すると、9月21日、22日の2日間だけ臨時国会を開くという針の穴に糸を通すような日程が浮かんでくる。17日~23日の間に国会が閉会すれば、任期満了による衆院選の投開票は10月17日に設定される。これは1976年と同じパターンだ。

 ただし、2日間では衆参両院の代表質問は不可能である。所信表明演説だけで終わるのは野党が許さない。そうなると、9月21日、22日のいずれかに衆院を解散するという奥の手がちらつく。内閣改造は国会が開いてなくてもできるが、衆院解散は国会開会中でなければできない。解散を打つための2日間の臨時国会召集は十分考えられる。解散は、与野党間が話し合えば一定の合意感も演出できる。「実質的には任期満了ながらも解散」のパターンは過去にもあった。

 国会を召集しない場合はどうか。任期満了日から30日以内に衆院選を行う必要があるため、対象となる日曜日は9月26日、10月3日、10月10日、10月17日の4つ。9月26日投開票の場合、公示は9月14日で総裁選はまだ終わっていない。10月3日投開票の場合、公示は9月21日で総裁選には間に合うものの、日程的には窮屈だ。10月10日は祝日で投開票日になりにくい。10月17日が有力な選択肢になる。

 2021年1月18日に会期150日間の通常国会が召集される。会期末は6月16日。菅首相は合理的な思考をするので、首相や閣僚が国会に長時間拘束されることに批判的だ。国会出席日数を最低限に抑えたいはずなので、重要法案が新たに追加されない限り、会期延長はないだろう。

 以上を勘案すると、「9月の総裁選直後の臨時国会で解散⇒10月17日投開票」、もしくは「任期満了による解散なしの10月17日投開票」が見えてくる。いずれも「総裁選直後に衆院選」という前提だ。これは自民党にとって話題を独占できる、マスコミの関心を自分たちにくぎ付けにできるという利点がある。内閣支持率が多少悪くても、総裁選で盛り上げて解散に突入すればいい――というわけだ。

「任期満了選挙は追い込まれているので不利」という言説を目にするが、菅首相は「実績を出して勝負をする」のが信念だ。実績は時間が経つほど積み上がる。感染のさらなる拡大、景気低迷のリスクもあるが、菅首相は最初から任期満了に近い衆院選を狙っている節がある。(文中敬称略)