欧州連合(EU)の欧州委員会は12月15日、米国の巨大IT(情報技術)企業を念頭に置いた2つのデジタル規制法案を公表した。
「デジタル市場法」と「デジタルサービス法」の2つからなり、20年前に制定した現行法の大幅改正を狙っている。
競争阻害を禁じる「デジタル市場法」
「デジタル市場法」は、自社製品・サービスの優遇などを禁じたり、企業を買収する際の事前通知を義務化したりと、巨大IT企業よる競争阻害行為の抑止を狙っている。
米CNBCよると、スマートフォンの標準搭載アプリの削除などを要求する可能性があり、米アップルや米グーグルが影響を受ける見通し。
EUの発表資料には、「検索エンジンやソーシャル・ネットワーキング、オンライン仲介などのサービス上で不公正な商慣行を続けている大手のみを対象にする規制」と明記しており、米フェイスブックやオンラインマーケットプレイス事業を運営する米アマゾン・ドット・コムも対象になるようだ。
ロイターによると、売上規模や事業分野の影響力、利用者数などを基準に企業を「ゲートキーパー(門番)」に指定し、規則を順守させるという。
重大な違反には、世界年間売上高の最大10%の罰金を科す可能性がある。また、違反行為が組織的で、他の是正策がないとEUが判断すれば、企業分割などの罰則を科す可能性もあるという。
プラットフォーマー対象の「デジタルサービス法」
「デジタルサービス法」は、EU域内人口の約10%にあたる4500万人以上の利用者を抱えるオンラインプラットフォームを対象にするもので、直接的な消費者保護を狙っているもよう。こちらもグーグルやフェイスブック、アマゾンが対象とみられる。