欧州連合(EU)の欧州委員会は11月10日、米アマゾン・ドット・コムに、EU競争法違反の疑いに関する暫定的な見解を示す異議告知書を送付したと明らかにした。
「出品者データ使用し自社有利に」
アマゾンが、小売業者から得たデータを自社商品の販売に使用することは競争法に違反すると指摘した。欧州委によると、アマゾンは出品者の非公開データにアクセスし、そこから得た情報を基にリスクを回避しつつ、優越的な立場で自社商品を販売したという。
具体的には、同社が出品者に販売の機会を提供するECサイト内のマーケットプレイスにおいて、出品者の受注数、出荷単位、売上高、商品ページごとの訪問者数、発送関連情報、出品者の業績、消費者からの苦情といった情報にアクセスしていたという。
アマゾンでは、これら大量なデータを組織的に利用できるようになっており、自社の品ぞろえや戦略的意思決定に活用し、出品者に不利益を生じさせているという。例えば、すべてのベストセラー商品カテゴリーで、自社商品を優位に扱うことが可能だと指摘している。こうした行為は欧州経済圏最大市場であるドイツとフランスで行われたとの見解を示している。
欧州委のマルグレーテ・ベステアー執行副委員長は、「アマゾンのような企業は、マーケットプレイスの運営者という役割と、自らも小売業者という役割を持つ。こうした二重の役割が、競争をゆがめることがないようにしなければならない」と述べた。
米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンはこれに「同意しない」と反論している。「過去20年間、アマゾンほど小企業を大事にし、支援してきた企業は他にない」と述べたとする。