カナダの独禁当局は8月14日、米アマゾン・ドット・コムに対する反トラスト法調査を始めたと明らかにした。
マーケットプレイス慣行を調査
アマゾンは自ら商品を仕入れて販売する直営のEC(電子商取引)事業のほかに、出品者の商品を自社サイトで販売する「マーケットプレイス」事業を展開しているが、カナダ競争局は今回、後者を主な調査対象にするという。
カナダにおける市場支配の乱用行為の有無を調査するほか、既存の競合を排除したり、新規の競合の参入を阻止したりしていないかを調べるとしている。
アマゾンのマーケットプレイス運営方針が過去や現在において、出品者商品の価格に影響を及ぼしたかどうかも調査する。とりわけ、出品者が他のマーケットプレイスと同じようにアマゾンでも低価格で商品を販売することが可能になっているかについて確認するという。
また、アマゾンには出品者に代わって商品の保管と配送などの業務を行う「フルフィルメント・バイ・アマゾン」と呼ぶサービスがあるが、同サービスを利用しない業者もマーケットプレイスで十分に商売が成り立っているかどうかを確認するという。
カナダ競争局は「現時点で不正行為があったという結論は出ていない」と述べたものの、今後、出品者などに関連情報の提供を求めていくとしている。
カナダのオンラインショッピング支出額は2018年に574億カナダドル(約4兆6200億円)に達し、2012年時点から3倍以上に拡大した。現在はインターネット人口の約84%がオンラインで物品やサービスを購入しており、アマゾンの影響力を調べて、もし公正な取引が行われていなければ、断固とした措置を講じる構えだ。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、カナダ競争局は2017年に、アマゾンが特定の商品の値引き販売について根拠のない主張をしたとして、100万カナダドル(約8000万円)の制裁金を科した経緯がある。