マルグレーテ・ベステアー執行副委員長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 欧州連合(EU)が月内にも米国の大手テクノロジー企業などを対象にする新たなデジタル規制を発表すると、米CNBC英フィナンシャル・タイムズが12月4日に報じた。

デジタルサービス法を改正、テック大手に厳しい措置

 「デジタルサービス法」を20年ぶりに改正するもので、違法コンテンツや偽造品などに対するテクノロジー大手の責任範囲を拡大する。EU域内で活動する中小企業が巨大な多国籍企業と公平に競争できるような措置も講じるという。

 フィナンシャル・タイムズによると、これは「非対象の対策」と言われているという。大企業への監視と罰則を強化する一方で、中小企業は競争力を高めて技術革新・投資を促進できるよう保護していく。

 また、EUは、米グーグルや米アップルなどの大手が、自社プラットフォームの検索機能などで、自社のサービスを優先的に表示している行為を問題視しているとCNBCは報じている。

「グーグルがウェブ検索で自社サービスを優遇」

 これに先立つ11月、グーグルがウェブ検索で自社のネットサービスを不当に優遇しているとして、165の企業・業界団体が強硬措置を取るよう求めた書簡をEU競争当局に送ったと報じられた(ロイター)。

 宿泊や旅行、求人情報などの自社サービスを検索結果で優先的に表示しているとし、欧州委員会で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー執行副委員長に迅速な行動を求めた。この書簡には、旅行予約サイトの米エクスペディア・グループや口コミ情報サイトの米イェルプなどの署名があったという。

 これに対し、グーグルは「利用者は最適で高精度の検索結果を期待している。他社サービスはワンクリックでアクセスできる」と反論している。だが、巨大テクノロジー企業に対する不満は高まっており、今回EUはそうした批判の声に応えた格好だ。