写真:花井智子

 どうすれば人から信頼を得ることができるのか。コントロールできない結果ではないものとはーー?

 トップリーグでプレーした日本人選手で初めて10000得点を記録した(※帰化選手を除く)折茂武彦。現役27年、得点に対する考え方が興味深い。

 10月に上梓され話題を呼ぶ、初の著者『99%が後悔でも。』に記された名将との出会いからひも解く「結果」と「信頼」の関係。

ジャック・シャローとの出会い

「折茂が外して負けたんだから、しょうがない」

 チームメイトやヘッドコーチ(バスケットボールでは監督をヘッドコーチ/HCという)、 観ているブースターにそう思ってもらえる。それが信頼だ。

 多くの場合、信頼には「結果」が必要だと考える。

 1試合平均で20点を取れば、チームの勝利はぐっと近づくだろう。あいつは決めてくれる、という信頼は絶大だ。

 ただし、それは結果論でもある。 指からボールが離れた瞬間、それが得点になるかどうかはコントロールができない。空中にあるボールを軌道修正することはできない。

 それがマイケル・ジョーダンのような世界的なスーパースターであれば、「結果」で信頼を得ることは可能だろうが、実際のところジョーダンですら「結果」を保証はできない。 では、どうすれば信頼を得られるか。わたしにとって必要だったのは「打ち切る」ことだった。

 トヨタ自動車に入ってすぐ、大きな出会いがあった。

 ジャック・シャロー。NBAでも指導をしていたヘッドコーチだ。20代前半で、そもそも生意気盛りだったわたしはずいぶんと反論をしたし、シャローもシャローですごく独特だった。普段は優しいのに、バスケットボールとなると急に熱が入る。うまくいかないと ボールを蹴飛ばして、練習中に帰ってしまうこともあった。