なぜベトナムは声を潜めているのだろう。それは中国が怖いからに他ならない。ベトナムは日本とは異なり中国と国境を接している。なにかの際に中国が大軍を持って侵攻して来るかもしれない。実際に1979年に中国軍はベトナムに侵入している。

 北朝鮮の金正恩はトランプ大統領とベトナムの首都ハノイで会談する際に、中国国内を列車で南下して、中越国境の街ランソンで自動車に乗り換えてハノイに入った。ハノイとランソンの距離は150キロメートルほど。あるベトナム人から「戦車で3時間程度の距離だ。だからランソンとハノイを結ぶ道路は直線にはしない。舗装も悪くしてある」という話を聞いたことがある。ベトナム人が中国に抱く恐怖は、尖閣諸島問題を巡って日本人が中国に抱く恐怖感とは全く異なっている。

赤い印のついた場所がランソン。首都ハノイとの距離は150キロほど(Googleマップ)
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 ベトナムにとって、米国と軍事的に良好な関係を築くことは好ましい。もし米越同盟を結ぶことができれば、中国に対して大きな牽制になる。しかし、そんなことをすれば中国を過度に刺激して、遠い将来を考えた時にかえって危険になるかも知れない。中国と1000年以上にわたって対立してきたために、ベトナム人は遠い将来のリスクも考える。

バイデン政権のベトナムに対するスタンスは?

 バイデン政権はベトナムとどう接していくだろうか。