(舛添 要一:国際政治学者)
当選確実の報道で勝利宣言をし、バイデン候補は政権移行への準備を着々と進めている。マクロン仏大統領、メルケル独首相、ジョンソン英首相など各国首脳も、すでにバイデン「次期大統領」に祝意を伝えている。菅首相も、12日午前には電話会談し、日米同盟の強化と「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて」協力することで合意した。
しかし、トランプ大統領は、選挙に不正があったとして敗北を求めず、法廷闘争を続ける意向を示している。ポンペオ国務長官も、「トランプ政権2期目への政権移行が滞りなく行われる」と述べ、選挙の手続きはまだ終わっていないと強調している。
1月20日に次期大統領が無事に着任できるのか、まだ暫くは混乱が続くと思われる。
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それまでに政権以移行の作業を進めるには、連邦施設を管理する一般調達局(GSA、General Services Administration)の認定が要る。しかし、トランプ大統領が任命したエミリー・マーフィGSA長官はまだその認定をしていない。そのために、準備が遅れ、安全保障上の機密事項の伝達もできない状況である。
2000年の大統領選挙でも同様な事態が生じ、それが安全保障体制の早期確立を遅らせ、翌年の同時多発テロに繋がったとされている。