イラスト:近藤慎太郎

 現代人は非常に多くのストレスにさらされており、そのしわ寄せが肉体的な症状となって現れています。不眠やうつなどメンタルの問題に加え、急激な腹痛、下痢に悩んでいる人もたくさんいます。

 腹痛、下痢の多くは過敏性腸症候群(IBS)である可能性が高く、食生活の改善、適切な治療によって治癒が目指せます。ぜひ本連載の過去の回(第16回第17回第18回第19回)も参考にしてください。

 さて、IBSともオーバーラップするのですが、「下痢ではないんだけども、突然猛烈な便意が襲ってきてトイレを我慢できなくなる」とか、「気が付いたら少し漏れていた」という経験がある人もいるかもしれません。

 これは、いわゆる「便失禁」や「その一歩手前」という状態になります。「便失禁なんて高齢者の話だろう?」と思う方もいるかもしれませんが、決してそうとは限りません。

 確かに、高齢者に多いのは間違いなく、65歳以上の7.5%の人が便失禁の経験があります。しかし高齢者だけではなく、20~65歳という若い年齢でも4%、つまり25人に1人は便失禁を経験しているのです。このデータを基にすると、なんと日本には500万人以上の便失禁患者が存在すると推計されます。

 しかも、この人数には介護施設の入所者など、いわば「便失禁のリスクが高い人」は含まれていません。つまり、一般的な生活を送っていたとしても、実に多くの人が便失禁に悩んでいるということが分かるのです。

 では便失禁はなぜ起きてしまうのでしょうか?