いよいよ米大統領選の投開票日が近づいてきた。当稿では選挙前の最後の勝者予測を記してみたい。
実は9月30日公開の当欄(「米大統領選徹底予測:バイデン勝利の信憑性は」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62302)でも、当選者の予測を行ったが、世論調査会社を中心にしたもの(7団体と1研究者)だったので、ここではもう少し別の角度から掘り下げてみたい。
大統領選の予測については、米国では学者の間で活発に議論され、多くの論文が出ている。政治学者だけでなく、経済学者、統計学者などが学究的な観点から勝者の予測を行っている。
彼らの予測モデルでは現在誰を勝者としているのか、また各種世論調査に対する客観的判断、さらにこれまで高確率で当選者を予測してきた予測マーケットについても触れたい。
米学者の間では何十年も前から、いくつもの当選予測モデルが使われている。
有権者の人種、収入、年齢、性別、候補者に対する好み、投票行動、短期・長期の国内総生産(GDP)やインフレ率を含めた経済指標が人口統計などと組み合わせされて予測が試みられてきた。
学究的な予測モデルは特に一般投票の予測ではかなり正確になってきており、数パーセントの誤差で勝者を言い当てている。
ただ投票行動を予測できても、選挙人の獲得割合までは正確に算出できていないところに予測モデルの限界がある。
9月30日に公開した原稿で紹介したアラン・リッチマン教授の予測モデルは1984年以来、勝者を言い当ててきているが、直近のトランプ大統領の数万単位の支持者を集める遊説や、バイデン氏との討論会の内容などは判断材料に入れていない。
さらに過去半年に起きたニュースなども考慮していない。