マイナンバーカードとマイナンバーの違い
わが国では、もっぱらマイナンバー「カード」が話題になっているが、カードは、ある国民に関するさまざまな情報、より正確にはマイナンバーで結合された情報の束と本人の結びつけるツールである。たとえば窓口に来た人物が、本当に給付の資格に該当する属性を持った本人であることを、また申請や受領をする場合には、それがその人物の意思に基づくものであることを確認するツールにすぎない。
これまでは、こうした本人確認は、運転免許証や健康保険証、その他の身分証明書を、窓口で担当者が目で見て確認していた。また、意思表明の場合は、定められた様式に必要事項を記入し、署名捺印して提出していた。こうした方法は誤認を招く可能性が高く、偽造やなりすましの可能性も否定できない。
そこで、パスワード、顔写真によって本人であることを確実に確認できるようにしたツールがマイナンバーカードである。そして、このカードを鍵として、その保有者の情報が格納してあるデータベースにアクセスし、新たに情報を付け加え、書き換えることができるようにしてある。その意味で、マイナンバーカードは、情報を格納してある部屋へ出入りするための鍵であって、鍵自体に情報が入っているわけではない。
今、政府では、マイナンバーカードの普及に熱心であるが、仕組みとしては、IDを介してデータベースにつなぐことができる機能があれば、別にマイナンバーカードである必要はない。スマホや携帯電話のSIMカードでもいい。海外では、IDカードの機能を持たせたスマホが普及してきているようだ。さらに言えば、運転免許証でも、健康保険証でも、それがマイナンバーとつながった鍵として、データベースにアクセスできるのであれば、同様の機能を果たすことができる。
スウェーデンでは、IDと連動した銀行カードが同様の鍵の機能を持つツールとして普及している。さらに、わが国では抵抗があるだろうが、体内に入れるマイクロチップも同様の鍵として使われ始めているという。