「親日=違法」の法律が成立する可能性大

 趙氏のほうも黙ってはいなかった。ラジオに出演しては、「自分の発言から『土着倭寇』という主語に当たる言葉を『朝中東』(朝鮮日報、中央日報、東亜日報)が、わざと抜いて歪曲扇動した」と主張した。そして「新聞の意図的な歪曲で傷ついた留学生に対し、代わって謝罪する」と述べ、「(自分を誹謗した)陳氏が謝罪しなければ告訴する」と強気に出たのだ。

 すると趙氏のこの発言に歩調を合わせるかのように、YTN、KBSなどの政府寄りメディアも「ファクトチェック」というワードを用いて、「趙氏の発言が保守系メディアによって歪曲された」と主張しだした。

 しかし、事実に照らし合わせれば、連合ニュースおよび連合ニュースの報道チャンネルであるYTNこそが、真っ先に「趙廷来、“日本留学行ってきたら、親日派なる”」をタイトルに入れた記事を作成していたのである。特に通信社である聯合ニュースの記事は、配信先の数多くのメディアによって使用され、広く韓国社会に浸透していった。

 韓国国会では今年の6月、共に民主党が「歴史歪曲禁止法案」を発議した。成立すれば、歴史的事実を歪曲したり卑下したり、被害者や遺族を侮辱したりする場合は、最大7年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金が科せられるようになる。また、2回以上の再犯時には、直ちに懲役刑を言い渡すことができ、被害者や遺族の告訴がなくても公訴を提起できるようになる。

 同法案の「歴史的事実」には、日本の植民地支配、5・18民主化運動、4・16セウォル号惨事が含まれている。特に、日本の植民地支配に対しては、日本の統治を正当化する団体を称賛、鼓舞、同調した者までも処罰対象だ。

 この法案については、学問の自由や表現の自由に関する議論がある。最大の問題点は、政府権力によって歴史の解釈が「事実」か「歪曲」かと判断されてしまうことだ。歴史に対する判断は、あくまでも学問の領域であり、法的処罰をもって強制するものではないだろう。

 ただ、趙廷来氏の発言をかばう与党の態度やメディアの姿勢を見ると、議論がどうであれ、今年内に国会通過の可能性がかなり濃厚だ。