まぶたにやさしいのは下に向ける視線

――パソコンやスマホといったデジタル時代が、目やまぶたの酷使に影響しているでしょうか。

手塚 視線の方向が影響しているかもしれません。視線を顔の正面よりも上にやって見るのはまぶたを全開にしないとならないので、きついですね。パソコン以前の時代は仕事でも机の上に書類やノートを置いて見ていたので、視線は下を向いていました。やや見下ろすのがまぶたにはやさしい視線です。パソコンのモニターなどはやや見下ろすような位置に置くといいと思います。

――不定愁訴の原因が眼瞼下垂だとわかるための方法はありますか。

手塚 ご自分で判断されるのは難しいと思います。他の医療施設(眼科や形成外科)で異常なしと言われた方も受診されるくらいですから、私のところでは、まぶたの状態を見るだけでなく、どれくらい不快な症状があるかを約30項目にわたって問診票に記入してもらい、そこからも判断します。

 まぶたが重い、見えづらい、首肩の凝りがひどさで仕事が続けられないなど日常生活に支障をきたしていること、それがマッサージなど他の方法で解決ができない時に眼瞼下垂が原因の一つだと考えてもらえればいいと思います。

【図3】松山市民病院形成外科眼瞼下垂外来の問診票
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――形成外科というと美容目的のものもありますが、それとは何が違うのでしょうか。

手塚 生活に支障があれば保険診療の医療行為ですが、単に見た目をぱっちりさせたいとか二重にしたい場合は美容目的の自費診療になります。眼瞼下垂については形成外科も眼科も扱っていますが、治療(手術)のしかたは医師によってさまざまなので、あまり安易に治療を受けないほうがいいとは思っています。