不定愁訴は眼瞼下垂が原因かも
――先生自身も30代半ばで眼瞼下垂の治療をされたのですね。
手塚 もともと眼瞼下垂の症状があることは自分でもわかっていたのですが、ある頃から細かい手術をした後、夜中にのたうち回るほどの片頭痛を起こすようになったため、手術を教えていただいた信州大学に連絡を取って手術を受けました。その後は片頭痛がなくなり、肩も重しが取れたように楽になりました。他にも、治りにくかった口内炎がすぐに治るようになるなど、効果を実感しました。
20年経った今も、細かい手術で肩は凝りますけど、回復は早いですし、あの時に眼瞼下垂を治療して本当によかったと思います。医療者でも不眠などさまざまな不定愁訴に悩んでいる人は多くて、医師や看護師から相談を受けて治療することもけっこうあります。
はっきりと病気だとは診断されなかったり、原因のわからない苦痛を伴う症状はたくさんあります。肩首の凝り、頭痛、睡眠障害、めまい、自律神経失調、気分障害や不安障害、線維筋痛症、顎関節症、歯痛、成人の非アレルギー性喘息、眼瞼・顔面の痙攣・・・、こういった症状が眼瞼下垂を適切に治療すると軽減されるのを、治療の現場で多く目の当たりにしています。
もっともよくとれるのが眼部痛で、ほぼ100%です。頭痛は90%程度、肩凝りもほとんどが消失か軽減しますし、不眠・気分障害・不安障害や過活動膀胱の症状は半数くらいの方が軽減しています。若い人だと冷え性や高血圧もかなり治るのですが、40歳を過ぎた人ではあまり変化がないので、動脈硬化の進行が冷え性や血圧の軽快を妨げるのだろうと考えています。
これらの不定愁訴と呼ばれるものは生命に関わるものではないし、病気と診断されることも少なく、がまんしている方が多いのが実態です。しかし、適切な眼瞼下垂治療を受けることで、もっと快適に生活できるようになります。まずはそういった認識を多くの方に持っていただくことが、辛い症状を抱えながら日々を過ごす人を減らすことにつながるのではないかと思います。
ただ手術方法で治療成績は大きく異なります。不定愁訴の治療目的で治療を受けるのであれば、その施設(医師)にどれくらいの確率で改善するかをしっかり聞いた方が良いと思います。開け具合のみを基準にしている施設では、不定愁訴の改善は見込めません。
うまくいかなければ他所でやり直せばいいやと軽い気持ちで受けると、残念な結果になるかもしれませんし、やり直しはとても難しいです。担当の医師としっかりコミュニケーションを取ってから、治療を受けていただきたいと思います。