ノーベル平和賞にノミネートされたトランプ大統領(写真:AP/アフロ)

 8月13日のUAE(アラブ首長国連邦)とイスラエルの国交樹立は、中東情勢に大きな影響を与えつつある。トランプ大統領は、この事実を理由として、2018年以来2度目のノーベル平和賞にノミネートされた。1度目は南北朝鮮の融和に尽力したことだったが、2回目の今回はこれからの展開如何では現実味が高まる。
 
 両国の国交樹立は、いかにトランプ政権が追随を求めたとしても、他のアラブ諸国がパレスチナとの関係を重視して他国に波及しないというのが、これまでの世界主要メディアの報道であった。8月22日付拙稿「大統領選挙前にトランプ政権が放ったホームラン政策」で取り上げた「繁栄への平和プラン」に対しても懐疑的な報道を繰り返した。ちなみに、一般に世界主要メディアという場合には、日本勢では、日経子会社の英フィナンシャル・タイムズが含まれる。

 ところが、9月11日、イスラエルのネタニヤフ首相とUAEのアブドラ外相がホワイトハウスで歴史的な調印をする4日前になって、バーレーンがイスラエルとの国交樹立を発表した。アラブ諸国ではこの1カ月間に何があったのだろうか。