政府による強いリーダーシップが発揮できる仕組みを

 いうまでもなく以上に述べたことは、現状からは大きな改革となる。これまでわが国では、関係団体と厚生労働省の折衝と合意によって、診療報酬はもとより医療の提供体制の変更や改革が行われてきた。ただ、これからはこうした合意による微調整では、急激な医療需要の変化やそれに応じた供給体制の変更に対応することはできないだろう。

 限られた資源の下で、急激な変化にも迅速に対応できる体制を構築するためには、政府による強いリーダーシップが発揮できる制度が必要である。要請と同意、補償を前提とした仕組みは美しいが、それでは非常時に迅速に最適な対応することは困難であろう。

 また、こうした体制のシフトを的確に、迅速に実行するためには、正確で充分なデータがリアルタイムに収集利用できる環境が必要である。それを実現するためには、ようやくわが国でも本格的に始まった国民一人ひとりの健康記録を出生から死亡まで蓄積するPHR(Personal Health Record)などの医療情報システムの整備が急務である。そのシステムを介して収集されるリアルタイムのデータに基づいて、医療資源の効率的配分を行う仕組みが稼働することが理想であろう。

 その点からも、現在、形成されつつあるわが国のデータヘルス・システムは、こうした目的のために有効か検証されるべきである。さもないと、マイナンバー制度と同じ轍を踏むことになりかねない。