2009年から6年間、私は診療報酬を決定する厚生労働省の審議会、中央社会保険医療協議会(中医協)の公益委員と会長を務め、診療報酬の決定と医療の提供体制の改革に関与してきた。21世紀に入ってからの人口構成の高齢化によって増加する医療費をどのように抑制するか、医療保険制度を持続可能にするためにどうすべきかについて考えてきた。

 わが国では、高齢化に伴う医療保険財政の悪化に加えて、人口減少により、地域医療機関の経営は厳しくなっている。現行の診療報酬制度では、患者数の減少は即収入減につながるからだ。そのため、地域医療構想を策定し、将来過剰になる病床数を削減することで地域医療の存続を図りつつあった。

 そのようなときに起こったのがコロナ感染症である。現時点では、兆候に基づく推測に過ぎないが、コロナ感染症による変化は大きく、コロナ後に受診者の行動や医療の提供体制が従前の状態に戻ることはないと思われる。

患者はこれまでのように外来に行くか?

 そう考える理由の一つは、一般の医療機関において患者側の受診抑制が今後も続くと思われることである。

 たとえば、今回のコロナ禍で外来での感染リスクから、オンライン診療が初診段階から認められるようになった。私も利用している。高血圧のような生活習慣病で同じ薬を10年以上飲み続けている患者であれば、体調の変化は自分である程度分かる。変化がなければ、いつもの薬を処方してもらえばよく、毎回医療機関で医師と面談する必要はそれほどない。薬局のオンライン処方も同じだ。長く飲み続けている薬について、毎回服薬指導を受ける必要性は乏しい。

 さらにいえば、発熱など体調の異常を感じたときも、2~3日家で安静にしていることでかなりの病気が自然に治癒するということを経験すれば、感染のリスクを冒してまで外来を受診することはなくなるのではないか。多数の国民がこのように考え、医療機関の受診についてこのような「行動変容」の有効性を学習するならば、当然、受診者数は減少することになる。