ミサイルを装備していない状態であるのは論外だが、ミサイルが運び込まれても、そもそも第302地対艦ミサイル中隊と第346高射中隊によって連射可能なミサイルの数が少なすぎる。

 世界最強の各種長射程ミサイル戦力を擁する中国軍が第一列島線上の宮古島に接近してくる場合、中国艦艇と中国航空戦力を撃退するには、宮古島の地対艦ミサイル部隊も地対空ミサイル部隊もそれぞれ180発前後のミサイル連射能力を手にしていなければならない(拙著『シミュレーション日本降伏』参照)。もし、宮古島、石垣島、久米島、沖縄本島、奄美大島などにそのように強力なミサイル部隊が配備されていたならば、中国軍作戦家たちは南西諸島列島線への接近突破は大いに躊躇せざるを得なくなるのだ。

(参照:本コラム2014年5月8日「効果は絶大、与那国島に配備される海洋防衛部隊」、2014年11月13日「国産地対艦ミサイルの輸出を解禁して中国海軍を封じ込めよ」、2019年1月10日「米軍が今になって地対艦ミサイルを重視する理由」、拙著『トランプと自衛隊の対中軍事戦略』など)

米軍部隊が走り回っても良いのか

 しばしば、宮古島にミサイル部隊を配備すると、その部隊を狙う中国軍の攻撃を呼び込むようなものである、との主張を耳にする。しかしながら、宮古島島民や日本国民、そして日本政府が絶対に日本から中国に対して武力攻撃(もちろん、現状では不可能な状態であるが)はしないとの固い決意を持っていても、「日本が軍事攻撃をしないならばこちらからも日本に対する軍事攻撃はしない」と中国共産党指導部(なにも中国に限定することはないのだが)が考えるとは限らない。むしろ、丸腰の島であるがために簡単に上陸占領部隊を送り込んでくる可能性がある。

 そもそも地対艦ミサイルも地対空ミサイルも、平和論者のいうところの専守防衛兵器である。外敵の艦艇や航空機が日本に侵攻してこなければ、使用することができない専守防衛兵器なのだ。

 そして、宮古島に配備されるミサイル部隊の戦力が強力であればあるほど、宮古島へは艦艇も航空機も接近することがなくなり、宮古島にミサイルや誘導爆弾が降り注ぐ可能性は消滅するのである。

 日本政府・国防当局は、宮古島をはじめ第一列島線上の人々に、強力なミサイル部隊を配備することこそ島民はもとより日本を安全にすることになるというミサイルバリアの防衛原理を丁寧に説明し、正々堂々と陸自ミサイル部隊の配備を、それも強力な戦力を持たせて、推し進めるべきである。

 もしも住民の納得を得られず、日本政府が姑息な手段で、かつ限定的戦力しか保持しないミサイル部隊の配備を中途半端に実施した場合には、アメリカ政府・軍当局がアメリカ自身の国防戦略上の都合から、宮古島や石垣島、沖縄本島や奄美大島などの第一列島線上に、米海兵隊と米陸軍のミサイル部隊を多数配備させるよう強硬に日本政府に圧力をかけてくるかもしれない。

 米軍のミサイル部隊が日本の国土を走り回るよりも、自衛隊部隊が配備に着いていた方が数等倍マシな状況であることは明白だ。