それだけではない。空母を含む米海軍艦艇のメンテナンス状況が遅延に遅延を重ねている状況であるため、少なくとも3セットの空母打撃群を西太平洋に送り込むことなど不可能に近い状態なのだ。

 そこでアメリカ海軍としても、第一列島線周辺で中国軍の優勢な艦隊や航空勢力を撃退するには、空母艦隊ではなく、第一列島線上に設置されたミサイルバリアを“主役”に据える戦略転換を認めざるを得なくなっているのだ。

 すなわち、第一列島線上のできるだけ多くの島々に、陸上を移動することが可能な地対艦ミサイル(艦船を攻撃するミサイル)と地対空ミサイル(航空機やミサイルを撃墜するミサイル)を多数配備して、第一列島線に接近してくる中国海軍艦隊と中国航空戦力を迎撃する態勢を構築するのである。

強化すべき宮古島の陸自ミサイル部隊

 こうしたアメリカの防衛態勢は、「中国海洋戦力を第一列島線内に封じ込める」ことによって、第一列島線から西太平洋にかけてのアメリカの軍事的優位を確保するためのものである。

 一方、日本にとっては、九州から与那国島にかけての第一列島線北部におけるミサイルバリアによる防衛態勢は、まさに九州から与那国島にかけての日本の領域、そして日本国民を守るための最前線の防衛戦力ということになる。

 日本防衛当局もミサイルバリアを構築する方向に歩み始めており、4月初頭には、宮古島に陸上自衛隊地対艦ミサイル部隊(第302地対艦ミサイル中隊)と陸上自衛隊防空ミサイル部隊(第346高射中隊)が配備され、2019年3月より駐屯していた宮古警備隊と合流した。

陸自が装備している12式地対艦ミサイル(写真:三菱重工業)

 しかしながら、ミサイル部隊配備や弾薬庫設置に対して地元住民からの幅広い理解を得られておらず、ミサイル部隊(人員と関連装置)の配備が済んだといっても、肝心要のミサイルそのものは宮古島に持ち込まれていない状態であるという。